少年…タッフ君の話によると、どうやら、彼は装飾泥棒の犯人を目撃したらしい。
ただ、その犯人の事を大人たちに話したところ、彼の言葉を誰一人として信じてくれないどころか、嘘つきと怒られまでしたと言う。
「戻って来たフェルカドが付いて来いと言うから、捜査を中断してこっちに来たんだが…なにかあったのか?」
その時、ベーンフェルドさんが、他のクマたちと一緒に走り込んできた。
どうやら、フェルカドが連れて来てくれたみたい。
「僕、見たよ! スターライトツリーが、街の飾りを盗んで、自分にくっつけてたんだ!」
私が、彼が街の装飾を盗んだ犯人を見たらしい事を、ベーンフェルドさんに説明すると、タッフ君はベーンフェルドさんに向かって、大きな声でそう訴えた。
一瞬、気圧された感じのベーンフェルドさんだったけれど、次の瞬間、彼は、そんな馬鹿なと首を振り、私に同意を求めて来た。
もちろん、私は、彼が嘘を言っているとは思っていないので、そこは否定しておいたけれど、確かに、スターライトツリーが飾りを盗むってどういう事だろう?
「ホッホッホゥ、その子の言っている事は真実ですぞ!」
その時、微妙な空気に割り入る様に、声を掛けてくる人がいた。
「あ、あんた……いや、あなたは……」
その声の主を見るや、ベーンフェルドさんは驚いた様に声を上げた。
どうやら知り合いみたい。
……あれ……この人……去年も会ったことあるような……。
「私は流れの聖人。その子の言う犯人を目撃しましたので、口を出させていただきました」
流れの聖人さんが言うには、動くスターライトツリーとは、星芒祭の飾りを身に付けた、トレントの事らしい。
たしかに、モンスターであるトレントなら、動くことは不思議じゃないし、飾りつけされていれば、スターライトツリーにしかみえないかも。
聖人さんの話では、トレント達は、ベントブランチ牧場の南の方へと集団で移動していたのだとか。
その場で、退治することも可能だったけれど、力任せにやれば、飾りまで破壊しかねないため、一旦、報告をしにやって来たみたい。
「な、なるほど…。しかし、繊細な飾りを壊さずにトレントを確保するのは難しい…一体、どうすれば…」
「グル。グルル…」
その時、ベーンフェルドさんの隣に居た、一番体格の大きな熊、ポラリスがなにかを訴えてきた。
相変わらず、私には、何を言っているのか全然判らなかったけれど、ベーンフェルドさんが言うには、プレゼントクラッカーを投げつけて、気絶させれば良いんじゃないかと言っていたみたい。
「よし、その手を試してみるか!」
そんなわけで、私達は、飾りを盗んだトレントを追って、南へと向かったのだった。
「いた」
ベントブランチ牧場から南、鏡池桟橋の近くに、トレント達はいた。
予想以上の数のトレント達がひしめいていたものの、どうやら凶暴性はあまりないようで、手を出さなければ何もしてこない様だった。
というか、なんだか、飾りを揺らしながら、お互いの飾り自慢をしているだけの様に見えるのは私だけかしら…。
とはいえ、飾りは返してもらわないとね。
私とフェルカドは頷き合うと、トレントの足元めがけて、プレゼントクラッカーを投げつけ始めたのだった。
「お姉さん、お帰りなさい!」
ベントブランチ牧場に戻った私を出迎えてくれた、タッフ君に、作戦は上手くいったことを話すと、彼は、今まで沈ませていた表情を一変させ、笑顔を取り戻してくれた。
「おう。お前さんも戻っていたか」
その時、ベーンフェルドさんと熊たちも、牧場へと戻ってきた。
どうやら彼らも、作戦は上手くいったようで、大半の犯トレントを捕らえることが出来たみたい。
まだまだ、飾りを盗んだトレントはいるみたいだけど、とりあえずは、一件落着かしら。
「グルル、グガァ」
その時、フェルカドが私の方を向いて、一声鳴いた。
相変わらず、言葉自体は判らないけれど、なんとなく、子供の笑顔を取り戻せた事を喜び、お礼を言っている様な気がした私は、フェルカドに笑顔を返していたのだった。
(´・ω・`)更新あってびっくりしたよー。
(´・ω・`)イーディスたんからサプライズのクリスマスプレゼント貰った感じだよー。ありがとうだよー。
お久しぶりです!
こちらこそ、また来て頂いて、ありがとうございます!
やっと、更新することが出来ました!
とはいえ、また、次の更新が何時できるか、なんとも言えないのですが…(;’∀’)
また、宜しくお願い致します(^▽^)/